病気になるのは自律神経が関係

私たちは色んな能力を持っていますが、この能力にも限界があって、やたらに忙しくするとか悩みを抱えたり、強いストレスに襲われたとき、また、あらゆる薬を飲んだ場合にも自律神経のうちの交感神経が刺激されて緊張状態になってしまいます。そうすると、人はいつも呼吸が浅く、脈が速く、血圧や糖が高く、夜寝付けないなどの状態になります。血糖が高いと糖尿病になり、血圧が高いと肩がこる。色んな体調不要に見舞われてついには病気になってしまいます。交感神経が緊張すると血管収縮が起こり血液はドロドロとなります。だから体に破綻をきたす前は顔色が悪くなって血色が悪くなります。自然と頬がこけ、体温が下がり、酸欠状態にもなります。

働き盛りの人は、働きすぎや心の悩みなどによるストレスで低体温・低血流となり、その結果、体調不良から発病します。すなわち、交感神経が優位に偏った生活を送り、病気になる危険性が高まります。こういう感覚を持たなければだめでしょう。

たくましさは交感神経優位の生き方でもあり、働く人の大事な特性ですが、なにくそとか、負けるのがいやだからやっつけてやるといったはねかえす心も交感神経の働きです。ただし、ずっと交感神経緊張ではダメです。食事や入浴で副交感神経も合わせて高めないと病気になってしまいます。

免疫にも自律神経が関係

自分の意思とは関係なく、生命維持に不可欠な機能を維持し、コントロールしているのが自律神経です。この自律神経は免疫システムにも深くかかわっています。外敵を丸呑みするマクロファージ、細菌の浸入を防ぐ顆粒球、ウィルス等微小な抗原をリンパ球が撃退しますが、交感神経優位のときは顆粒球が活発化し、副交感神経優位のときはリンパ球が活発化します。成人の免疫には、どちらかというと副交感神経が優位でのリンパ球が理想に近くなる必要があります。

顆粒球は骨髄で作られ、無理をする、夜更かしするといった状態で交感神経が刺激されて増えます。いろいろなことで悩むと顆粒球が胃の粘膜に押しかけ、びらん性の胃炎、胃潰瘍になります。受験期の子供たちは、受験となると悩み、その受験のストレスで潰瘍性大腸炎が多くなります。 病院へ行って薬をもらう。しかし、薬では治らない。生き方、考え方を変えないと病気は治りません。

私たちは無理をし過ぎたり、薬を常時飲み続けていたりすると顆粒球が増えて組織破壊の病気で苦しむようになります。

免疫システムの暴走

無理をする、夜更かしするといった状態は、交感神経が刺激された状態なので顆粒球が増えます。受験のストレスで悩む子供たちに多いのが潰瘍性大腸炎。女性が無理をしたためにおこる病気に、子宮内膜症、卵巣脳腫、子宮筋腫とかがあります。顆粒球が子宮内膜を攻撃して起こるのが子宮内膜症だし、卵巣を攻撃したのが卵巣膿腫です。顆粒球はそもそも膿をつくる細胞ですから、悪化すると膿が噴き出てくるという共通点があります。

顆粒球が増えるときリンパ球は減ります。その結果、大体、感染症に弱くなってきます。だから無理が続くと帯状疱疹が出たり、ヘルペスになったり、C型肝炎ウィルスのキャリアの人が発症します。

自律神経が体温を左右するが、血流を安定的に上げる方法は今までありませんでした

戦後、日本人の体温は1度近く下がったと言われ、1度体温が下がると代謝が37%、免疫が12%も下がると言われています。最近は子供から老人まで、男女問わず低体温の人が増えています。

ひとの脳や内臓などがある深部体温は37.2度前後、脇の下で36.2度前後ですが、35度台の低体温で悩む若い女性が増えています。こうした低体温は深部体温を維持するために体表面の血管を収縮させ、毛穴も閉じ、放熱をできるだけ避けようとしているからです。こうした調整を自律神経が行っています。

交感神経は血管が収縮するよう作用をするので、血管は細くなり血液はドロドロ、血液量も少なくなり、全身の血液循環量が減って、体温も下がってしまいます。一方、入浴などでの副交感神経は血管を拡張させるので血液が大量に流れますが、大量の血液を動かすには手間がかかり、普通の方法では、安定的に血流を上げ、体温を上げる方法はなかなかありませんでした。

交感神経と副交感神経、どちらが優位になっても体のバランスが崩れ、低体温になり、様々な病気を招いてしまいます。自分が交感神経、あるいは副交感神経のどちらに偏っているかが分かれば、その偏りを正すことで病気を治すことができるのです。

入浴は簡単にできる体温向上法 血流をよくしてポカポカの体を手に入れる

低体温の改善が健康への近道です。すぐ始められる方法のひとつが「有酸素運動」です。体に負担をかけないウォーキングから始めてみましょう。軽く汗ばむ程度まで行うと血流がよくなり、全身をほぐすことで気分も爽快になります。

運動する時間がない人には「お風呂」をおすすめします。42~43℃の高い温度は交感神経優位となり、危険入浴となりますが、お年寄りや病気の人は38~39℃くらいのぬるめのお湯に、健康な人は40℃前後のお湯に浸かりましょう。41℃以下なら副交感神経が優位となり血流が高まり、ゆっくり浸かれば疲労感が消えてデトックスも起こり、全身がリラックスします。一日の終わりには湯船でくつろぎましょう。

入浴すると副交感神経が刺激され、血管が拡張します。拡張すれば血流が上がります。新鮮な酸素や栄養が体の隅々に運ばれ、反対に体中に蓄積していた老廃物や疲労物質を取り去ってくれます。温かい血液と代謝が上がることで体温も上がります。健康のバロメーターである36.5度を目指してください。ちなみに体温が高くなれば糖も燃焼しやすくなり、ダイエットにもつながります。体温36.5℃以上なら、ホルモンの産生も酸素も活発に生産され代謝が向上します。

低体温は健康の敵。健康とは「体が温かいこと」です。あなたも血流をよくしてポカポカの体を手に入れましょう。

安保徹 プロフィール/947年、青森県生まれ。東北大学医学部卒業。米国アラバマ大学 留学中の1980年に「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクローナル抗体」を作製。89年、胸腺外分化T細胞の存在を発見。96年、白血球の自律神経 支配のメカニズムを初めて解明。国際的な場で精力的に研究結果を発表し続け、免疫学の最前線で活躍。新潟大学名誉教授。「免疫革命」「未来免疫学」「体温免疫学」「こうすれば病気は治るー心とからだの免疫学」「絵でわかる免疫」など著書多数。

Voice of intellectuals 識者の声

  • 医師 末武信広
  • 元シャンプー薬事開発者 富田健一